『M.Herbs&Aromatherapy』主宰
AEAJ認定アロマテラピスト、JAMHA認定ハーバルテラピスト
小野光子さんと知り合い、おつきあいもかれこれ10年近くになるでしょうか。
忙しく日々を過ごすなか、おろそかにしていた自分自身のこと。彼女との出会いは間違いなくそんな自分に立ち止まり、振り返る機会をくれました。
いたわり、癒し、ときに元気づけてくれる、植物の香り、力、その存在、そしてつきあい方。
まだまだ彼女から教わりたいことはたくさんある。いつも彼女に会うとなぜか解放感で満たされる。
それはなにより彼女自身がとても柔らかな癒される人で本当の意味でナチュラルで自然体な存在だから。
彼女だからこそ生まれたエルニの香り。
- エルニの香りのアイテムを監修いただいた小野さんを紹介したいと思っています。小野さんが取り組まれている香りのお仕事の具体的な活動などもうかがえたら。
自然療法を勉強しはじめてから20年近く経ちます。
自然療法といっても「アロマテラピー」から入り、自分自身に必要としてはじまったというところがあります。
- そもそもアロマテラピーとは!?
芳香療法です。
アロマの勉強を始める前、長らく生活雑貨の仕事で海外への出張も多く、とても忙しくしていたのですが、ある時、体調を崩し入院をすることになりました。仕事は楽しく頑張っていた時だったので「どうして私が?」と、気持ちの糸がプツンと切れたような感覚になりました。
数日お風呂にも入れなくて気が滅入っていた時、看護師さんがお湯とアロマを持ってきて身体を拭いてくれたんです。柑橘系のオイルだったと思いますが、その香りがとても心地よくて、内側から「元気にならなきゃ」という思いがふーっと湧いてきました。
「アロマには不思議な力があるなぁ」と思ったんです。退院後、1か月くらいお休みする時間があったので、家で少しずつ勉強し始めたのが始まりです。
- アロマテラピーとは、単に香りを楽しむということではなくて、香りの力を通じて身体や心に働きかけるということなんですね。
そうですね。
「植物の天然の香りが好き」というのは以前からありましたが、香りの力で人に役立つことがあるということをその時初めて実感したんです。
辛いことがあって心がざわつく、楽しいことがあって興奮して眠れない、それぞれの理由に応じた心を静めるアロマがある。なぜか朝から元気が出ない、集中できない、そんなときも心身を活性化させてくれるアロマがある。
いろんな効能があるのです。また、それぞれのアロマオイルをブレンドすることによって1+1=2ではなく、3にも4にもなるシナジーがあることも知りました。
植物は人間がいなくても生きていけますが、人間は植物がないと生きていけない。自然の力と植物の神秘って本当にすごいなぁと思います。
アロマテラピーから入りましたが、いい香りを出す植物って、人に役立つ植物ってどんなものがあるのだろう?と興味を持ち、メディカルハーブについても勉強し始めました。
その日の体調に合わせてハーブティーをブレンドして飲むことも楽しいセルフケアの一つです。
また、アロマに関しては、それを実際に活かすってどういうことがあるのか?と、アロマクラフトをいろいろ作るようになりました。
例えばオイルに希釈してマッサージをする、部屋の芳香や消臭のスプレーを作る、自分好みの天然の香水を作る…いろんな楽しみ方があります。
そして無添加の手作り石けんのことも学んで作るようになりました。
使ってみて自分がいいと思ったものは人にもすすめたくなるなるので、友達やまわりの身近な人たちに紹介し使ってもらいました。
友人からは「すごくいいから商品化したらいいのに」と言ってもらえて、徐々に商品化も始めています。
- いまそのお仕事がメインとなりますか?
はい。ただ、生活雑貨のお仕事も続けています。今年30周年になるブランドで、設立当初から携わっているので、体の一部になっているような感覚があるのです。なので週に数日のペースになりますが商品企画やお店のテーブルコーディネートの仕事をやっています。
- となると、以前忙しくて身体を壊されたということですが、今は二刀流で忙しくされているのですね!お身体、無理されてませんか?
頭の使い方が違うだけでリラックスできるんですよ。
生活雑貨の仕事だけをしていたときは、休日ずっと寝ていたり、夕方から友達と食事にいったりとか、そういう休息の取り方が主でした。
でも人間は7時間くらい睡眠をとれば充分なんですよね。起きている時間は違う頭をつかったほうがリフレッシュするし休息になっていることに気が付いて、それで、土曜日はアロマの学校に行ったりしてたんですよ。
- え!やっぱり忙しいですね。
そうですね 笑
でも私は子育てもなかったので、その分の時間を学ぶことに費やしたり、周りの人の助けになることをすることが生きがいや楽しみになったらいいなと思ってやっています。
- では、今小野さんの身体と心のバランスを保つために今の状況でお仕事されているんですね。
やるべきことがあると思ってやっています。やることがなくなってきたら自分が一番分かると思うんですよね。でも今は役割があるし、アイデアも湧きます。
- 歳を重ねてやるべきことがないなと思うときって来るんでしょうね?
この分野ではやるべきことがなくなってきたと思うことはあるでしょうね。でも違う分野ではきっとあるんです。
そして、今はアロマテラピーやハーブの活動を同時進行でやっていて本当に良かった。これがあったから仕事も普段の暮らしもバランスが取れて楽しくやってこれたと思っています。
- ご自身の活動やいいと思ったことを共有するためにワークショップなどもされてるんですよね?
はい。自分で企画したワークショップというよりは、友達がそれぞれの分野で活躍しているので、声をかけてもらう事が多いんです。
たとえば親友の服のブランドの展示会をやるときに、展示会と共に他に何か楽しみがあればということでワークショップを依頼されたりするんです。展示会場にも良い香りが広がり素敵な服とのシナジーにもつながります。
切り口が真面目なアロマテラピーの講座というものではなくて、参加して下さった人たちが気軽に普段の暮らしの中でセルフケアとして取り入れられるよう、みんなでわいわい楽しめる感じのものを意識しています。
- 小野さんの強みは、ただ専門家というだけでなく、アロマの知識を多方面にディレクションされているところですよね。
今回、エルニのフレグランスアイテムをつくるにあたり、小野さんにはまずイメージをお伝えして…。
私たち自身、アロマに興味はあるけれど、知識はないので、今回は朝、温室、植物に水をあげたときの茎や土のような、抽象的なイメージをお伝えしました。
小野さんがいくつか香りを提案してくださったものを、私たちでブランドポリシーに沿って選び、そして微調整をお願いしていきながら全体の世界観に近づけてくださいました。
ご要望があって、それに応えていくということにも相乗効果があるんですよね。自分だけでやっていると方向性も似通ってしまいますが、こういうものを作りたいというリクエストをいただくと、なるほどとイメージが広がり展開していくところが面白いですね。
商品化するチャンスもいただきとても感謝しています。
小野さんの持つ「相手の気持ちを汲む力」こそが、今まで彼女の体験してきた様々なセラピーを、大切な多くの人に活かすことへと突き動かしているのだと感じました。
そして、自分の有益な体験をまだ知らない人、悩んでいる人に伝えたいという想いが根底にあると、お話しするなかでとても伝わってきました。
きっと誰しもが悩んだことのあるストレスや身体の不調、多くの人が関心を持っているであろう美容、それらに対応した「aroma香り」「therapy治療」。
小野さんの人柄にも触れるなか、それらが掛け合わさってますます「アロマテラピー」に興味を持ちました。
次回、小野さんに監修いただいたエルニの製品についてコラムを続けます。